
「風のつぶやき」は、河原成美がお届けするコラムです。

ゴールデンウィーク、あなたは何をして過ごされますか? これを書いている今は4月中旬。5月の連休はきっとたくさんの人が動くんでしょうね。人混みでごった返すのは苦手ですが、普段とは違うところに繰り出すことは大賛成。僕自身も一年の大半は、旅回りの役者のような生活をしています。
昔、そう今から30年以上昔のことになりますが、吉田拓郎が歌っておりました。ここに「よしだたくろう青春の詩(うた)」という昔のアルバムをCD化した一枚があります。その中の「こうき心」という歌を懐かしく聴いています。
「街を出てみよう」と始まり、「話をしてみよう」「恋をしてみよう」「なみだを流してみよう」「雨にうたれてみよう」と拓郎は歌っています。これを聴いていたあの頃の自分がよみがえってくるようです。20代前半の僕は大人が嫌いで、若者特有のひねた見方しかできず突っ張っていた時期があります。大人の何たるかもよくわからず、表面的なことで勝手に決めつけていた感が無きにしもあらずですが。
好奇心、大切ですね。好奇心に満ちた日々を過ごしていれば、心が錆び付くことも少ないでしょうし、日常に忙殺され行き詰まることも少ないでしょう。ちょっとしたつまづきや閉塞感からも自力で抜け出せるのではないでしょうか。好奇心を満たす。日々の暮らしに映画や芝居、美術館に行くなどを織りまぜるちょっとしたことが、明日への活力にもなりますよね。
そう言えば拓郎の歌で「古い船には新しい水夫が乗り込んで行くだろう」という一連のフレーズも好きでした。1952年生まれの僕は、拓郎の歌に影響を受けた世代です。
あの頃「あんな大人になんかなりたくない!」と思っていた「あんな大人」に、あなたはもしかするとなっていたりしませんか? 「なりたかった大人」に、あなたはちゃんとなっていますか?
進路に迷っている若い人たち、人生に迷いを感じている若い人に出くわした時、これまで何度か言ってきました。「何をするか、何をしたいかがわからないんだったら、一年くらい旅をしてみるのもいいんじゃない? 思い切って外国に行ってもいいし、それが難しいなら北海道とか見知らぬ土地に行き、住み込みで働かせてもらうのもいいと思う」みたいなことをね。
いつもと違う空気を吸って、いつもと違う国の言葉や、日本語でも違う土地のアクセントを耳にして‥‥。行く先々で見るもの、ふれ合う人、すべて新鮮に映るでしょう。旅をすることは、新しい自分を知るための一つの方法だと思いません? 拓郎の「こうき心」は、安寧な日常を幸せだと満足しきっていないで、何が自分にとって幸せかを違う側面から疑ってみようよと歌っているように思います。僕と同世代の方、あの頃どうお感じだったでしょうか?
僕の友人は、一年に一度、自分の誕生月に旅をするといいます。行き先はその時いちばん心の導かれる土地へ、2泊3日くらいの一人旅。皆が皆、そんな気ままな旅が可能だとは思いませんが、一年に一度くらいの旅ならOKでしょう。もしかすると人間の器みたいなものも、移動した距離に応じて大きくなっていくのかもしれません。本当にそうであれば、僕自身、もっと諸国漫遊をしてみたいものです。
少年は大志を抱き、若い社会人は夢に向かって、主婦の皆さんはリフレッシュを兼ね、団塊の世代のお父さんたちは今を通過点として旅に出る。飛行機、新幹線、船‥‥。さて、あなたは何を選びますか? |