
「風のつぶやき」は、河原成美がお届けするコラムです。

こんにちは、河原です。既に皆さんもご存知のように、正月5日、日清食品の安藤百福会長が永眠されました。2003年2月に初めて対面が叶い、それから4年足らずの短い期間に何度か言葉を交わす機会をいただきました。ご縁があったことを嬉しく思います。
安藤会長からは『麺翁百福亭』開店の際に「人のためになる仕事をしなさい」「やるなら中途半端はいかん、頑張りなさい」とお声かけいただきました。改めて深く心に刻み直した次第です。安藤会長、ありがとうございます。
さて、今回は僕らの会社で行なっている「ノート研修」の話をさせていただきます。始めたきっかけは、一昨年の10月頃に100名ほどの自社スタッフと面談し、日常生活の中で余りにも字を書いていないことを痛感したからです。僕自身もほとんど「書く」ことをしなかった時期がありますから、人のことを言えた義理ではありませんが、「書く」ことをしない人間は思考が浅く、話の流れもバラバラなのです。面談を進めるうちに愕然とし、終了後に「来年は一人一人がしっかりと書く年にしよう」と決めたのです。
「ノート研修」を始めたのは昨年一月から。A5〜B5サイズの手帳型ノートに、毎日欠かさず何かを書き記していくのです。書き方は至って簡単。自分の夢や目標(短期・長期)、その日の出来事、仕事のアイデア、心に響いた言葉や出会った人など、テーマを決めると書きやすいようです。書くことが浮かんでこない日は、新聞や書籍、情報誌などを読んで「いいな」と思った文章を書き写すだけでもヨシとしました。内容が問題なのではありません。毎日ちゃんと書いたかどうかは、定期的にほかの人がチェックします。
昨年一年間、全120名の社員さんが毎日、自分のノートに何事かを一ページずつ書きました。連日びっしりとノートを埋め尽くすことで、皆が大きな達成感を味わったと言います。日記どころかスケジュール帳さえ記入しなかった者が、半ば強制的に毎日書くことを義務づけられ、最初は大変だったでしょう。何日分かマトメ書きしたこともあったかもしれません。しかし、一年を経た今年一月の経営方針発表会では、同じ体験をした仲間同士が一ツ処に会し、より深い結束が生まれたと感じました。それぞれが、自分の書いたノートを誇らしげに大切に持ち寄って、成長を喜び合うことができたのです。
「書く」習慣は、考えるクセをつけます。自分が書いたことは、やり遂げようと努めます。今日をふり返り反省し、他人を思いやり、人間としての気付きが生まれる。彼らにとってノートを書き続けることは、今まで向き合わなかった自分自身と向き合う場だったのです。
自社ネタで恐縮ですが、一年やり続けてよかったと自信を持って思えるので、皆さんにも紹介し、書かれることをお勧めします。ノート代、筆記具代だけでできるとても安上がりな研修とも言えるでしょう。
4月の新年度、新学期からでもかまいません。形を決めると書きにくくもありましょうから、続けやすいように、食事の記録や朝起きの時間、今日の学びや観た映画の記録など、自分に合ういくつかのテーマで始めてみませんか。
自分の中の小さな変化を書き記すことは、新しい自分自身の創造とも言えます。その小さなチャレンジを続けることで、あなたの8,760時間(一年)は、より充実した時間の集合体になることでしょう。 |