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風のつぶやき
れんげ堂本舗

風のつぶやき

「風のつぶやき」は、河原成美がお届けするコラムです。

いい人  100万人 vol.42

 夏の陽差しがまぶしいこの季節、皆さん、いかがお過ごしですか?
最近、いろんな事件がありますね。心が痛くなるような事件が多いですね。僕が生まれてこのかた、たかだか50年ばかりですが、日本人の暮らしぶりは大きく変化し、便利・快適の代償として失くしたものがたくさんあります。その一つが「ふれあい」ではないかと思っていました。「袖触れ合うも他生の縁」というけれど、家族や仲間ってそうだよね。

 ところが、つい最近よく晴れ渡ったある日曜日のこと。昼ごはんに「ゴーヤとアンチョビーのペペロンチーニ」をつくろうと、福岡の家の近くのスーパーマーケットに出かけました。
いつもなら大人一人、買い物をするお母さんの姿が多いんです。
でも、その日はやたらと親子連れが目につきました。父の日ではなかったけど、お父さんと子どもが一緒に買い物に来ている、両親に連れられた子どもたちがはしゃいでいる、そんな光景が幾つも見られました。そう言えば、朝入ったファミレスでも家族連れが目立って多かったな。

 ひょっとすると、みんなの心に鬱蒼と積もっていた「なんとかしなくては」の想い が目を覚まし、なんとなく形に現れ出したような感があります。大人は考えた。「このままで大丈夫なのか?」と不安になって、真剣に考え「何か始めなくては」と思っ たんじゃないのかな。
いくつかの事件は子供の間で起きたけど、それは子どもだけの問題ではなく、その 子たちを取り巻く大人たちや社会に問題があるんじゃないのかな。
事が起きても他所様のことには無関心、ベタベタしたしがらみを嫌い、親戚付き合いやご近所付き合いはますます希薄に。
そういう世の中の乾いた風潮が引き当てた氷山の一角が、昨今の 事件ではなかったのかな?
何かの書物で読んだけど、心が乾いてカサカサになった分、命も軽くなっているんじゃないかとありました。本当に困ったことだよね。

 私事で恐縮ですが、6年前に初めて編纂(へんさん)した著書『2018年 同じ笑顔で』の一 節に、「いい人100万人キャンペーン」という話を書いています。
「〜例えば善循環 のスパイラルに気付いている人が、現在一万人いるとする。日本の人口の一万分の一 くらいにあたるわけだ。 この数は少ないようだけど、一人の“光りをあげることので きるいい人”は複数の人に伝えていくから、ひとたび回転しはじめれば“いい人”の 輪は急速に広がるはず。“いい人”一千万人突破、一億人突破だって夢じゃない。“いい人”が百人に一人、となればおそらく世の中は浄化されてくると思う〜」と。

 いま思えば“いい人”は百人に一人より多くいると僕は気付いているよ。“いい人” と“よくない人”の線引きは難しいかもしれない。短絡的なことは言えないけど、世の中には“いい人”がたくさん必要なんだ。
物事をしっかり考えて、自分の意見に責任を持ち、即行動できる人。かと言って、聖人君子をヨシとするつもりはなく、それぞれ自分の胸に手を当て「俺は本当にいい人か?」「私はいい人と言える?」と問うてみれば、自分に欠けているものを感じるでしょう?

 心が乾ききって荒(すさ)んだ世の中で、迷いながら行き場もなくくぐもっている人に温かい声をかけ、話を聞いて、手助けできるもんだったら、そうしたいと僕は思う。
脈々と続く後輩たちに、自分が受けてきた愛情やありがたみをしっかりと伝えていこうよ。もうちょっと“いい世の中”になるように、大人が重い腰を上げ、あと半歩を歩み出そう。踏み出さなければ始まらない。単純だけど、今年52歳を迎える一人の男は、そう思います。


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